2010年1月26日火曜日

大前氏「日本経済の衰退、韓国の成長カーブには理由がある」

「日本は1970年代、世界2位の経済大国になった。幸福感を感じたが、今では郷愁だけが残り、どの統計を見ても日本はすでに絶頂期を通過し、経済指標は95年水準に戻っている。これは当然のことだ。日本は古びた政府・官僚体制を持つ。


何が間違ったのか見てみよう。人々は経済が回復すると期待しているが、そのような雰囲気はない。人々はこうした事実を受け入れようとしない。日本経済の衰退にははっきりとした理由がある。大衆迎合主義と挑戦意識の欠如だ。さまざまな分野でその現象が見える。

海外で勉強しようとする学生が大幅に減った。それで国際競争力が大きく落ちた。誰も挑戦しようとしない。挑戦意識がない男性を意味する草食系男子症候群が日本の今日を物語っている」

◇‘カンガルー族’を量産した低出産

大前氏は日本の不況を構造的な問題として接近し、低出産問題の深刻性を指摘した。

「日本では現実に安住する社会的な雰囲気のため、職業を選択する時も安全性を重視する。これは、まだ官僚社会に人が集まるということだ。子どもたちはこれ以上の欲がない。事実上、一人っ子の時代になった。最も多いのが独身世帯だ。33%にのぼる。スーパー、デパート、ファミリーレストランが苦戦する理由だ。非常に大きな人口変動が発生しているのだ。

ソニーやパナソニックの職員に外国で勤務するかと尋ねると、9割は行かないと話す。自分が行けば妻が職場を失うので外国に行けないという。所得が半分に減るという現実的な問題があるということだ。30年前にはこんなことはなかった。発令が出れば地球のどこにでも行った」

大前氏は「最近の日本人は、明治維新後の日本の歴史上で見られなかった新しい世代」と述べた。

「最近の日本人は井の中にいることを望み、昔のことを懐かしみながら下降平準化に向かっている。一人の子どもを育てて、母は子どもが親のそばを離れるのを嫌う。結婚適齢期の34%がまだ結婚せずに親と住んでいる。女性の場合、子どもを親に預け、自分は外出して楽しむケースも少なくない。親は‘カンガルーのポケット’になっている」
 
◇「優れた指導者が一人いれば…」


「韓国もこうした問題を10-20年後に経験するだろう」と指摘した。

「幸い、韓国は国家レベルでは依然として成長カーブを描いている。さらに李明博(イ・ミョンバク)大統領を指導者に選んだのは幸運だ。李大統領は経済をよく知り、どのように成長戦略を立てるかも知っているようだ。もちろん初期の過度な成長政策はすでに外れている。しかし状況の変化によって柔軟に政策を変え、運河の公約を修正した」

李明博大統領に対する大前氏の好評は日本の指導者に対する酷評へとつながった。

「李大統領は鳩山由紀夫首相、小沢一郎民主党幹事長のような日本の指導者よりも全般的に優れた指導者だ。麻生太郎、福田康夫、鳩山由紀夫は世襲政治家なので一度もハングリー精神を持ったことがない。優れた指導者が一人さえいれば、その国は必ず成長カーブを描く。しかし日本には現在そのようなリーダーシップを持った政治家がいない」

◇知恵を集める‘集団IQ’が必要

大前氏は「一人の指導者が世の中を変える」とし「企業や国家でも卓越した指導者が必要な時代だ」と強調した。しかし一方で、社会や組織を成功に導くにはみんなが知恵を集める‘集団IQ’が重要だと強調した。

「日本人は個々では多くの知識を持っているが、大衆迎合主義に巻き込まれ、社会が不合理な方向に引きずられていくケースが多い。代表的なのがマクロ経済政策だ。最も賢いといわれる大蔵省の官僚は不況の時にゼロ金利を作って流動性を増やした。しかし何の効果を出せなかった。金利はゼロでも誰も金を借りない。

日本には1400兆円の個人金融資産がある。金利が5%なら非常に大きなお金だ。しかし賢い言論人が作っているマスメディアを見れば人々は金を使えない。みんな経済が良くないと話しているからだ。日本の人たちは引退時の平均財産が25万ドルで、死亡時の平均財産が35万ドルだ。引退後にも財産が増えるというのは話にならない。年金も貯蓄に回すからだ。

一部の人は、子どもが憎くて死ぬ時に財産を看護師に与えたりもする。これが結局、内需不振と低成長の根本原因となっている。どんな立派な葬式でも400万円あれば十分だ。結局は死ぬまで窮屈な生活を送るということだ」

◇米国・中国経済に注目

世界経済に対しては悲観論を示した。

「米国金融機関に対する治療薬はない。米国の商業銀行は今後もしばらく不良債権に苦しむだろう。日本はこのままだと2020年には世界7位のG7国家になる。結局、国の借金を解消するべきなのに、日本航空(JAL)のように国民の年金を30%ほど削減してこそ解決できる。中国の過熱は警戒しなければならない。北京と上海の不動産はこれ以上持続しない。米国の商業不動産も危険だと見ている。オバマ米大統領のリーダーシップが疑われるのも世界経済の不安要因になるだろう。オバマ大統領の再選も楽観できない」

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